ケのbiの図
＠ギャラリーゼロ

今回、絵の一部に蓄光顔料を使用しています。
以前地下のイベントスペースで展示をする機会があり、蓄光テープを使用して作品を作ったことがあります。その際蓄光塗料についてあれこれ調べていると、かつて軍用腕時計の文字盤には夜光塗料としてラジウムという放射性物質が使用されており、女性工場労働者たちが塗料の危険性を知らされることなく筆の先を舌で整えるように指導され致死量のラジウムを摂取させられてしまうという出来事があったことを知りました（ラジウムガールズwiki）。
また、地元の近くには飯坂温泉という温泉街があります。そこは日本で初めてラジウムが発見された場所だそうで、地元では温泉玉子のことを「ラジウム玉子」と呼んでいます。その飯坂温泉にある旅館「清山」での芸術祭に参加した際は無電源で音が出るゲルマニウムラジオを作りました。休業中の旅館の誰もいないその部屋では今もラジオ放送が微かに流れ続けています。
その後、恵比寿の路上のショーウィンドウで展示するという機会があり、昼と夜で見え方が変化する作品ができたら面白いかなと蓄光顔料を使用した作品を作りました。残念ながら都会の夜は明るく、見え方が変化することはほとんどありませんでしたが、良い経験となりました。
そんなこんなでいわゆるホワイトキューブではない場所での展示が続いたこともあり、普段とは異なる作品をいくつか制作してきたという経緯があるのですが、それらの要素をつなぎ合わせて絵が作れないものかとキャンバスに取り組みました。